神川輪業スタッフによるブログ。自転車屋の日々を発信しています!
スマートコントロールブレーキの注意点と対策
2015年2月20日ブリヂストンやヤマハの子乗せ電動自転車やアルベルトの上位モデルに
採用されている「スマートコントロールブレーキ」
制動力もいいし、コントロール性も良く
何も問題は無いように思えるこのブレーキ、実は
通常のブレーキに比べ、注油(メンテナンス)頻度が多いのです。
注油せずに油が切れてくると、ブレーキの戻りが悪くなり大変危険です。
これは画像から見て分かる通り、可動部分が多いためです。
構造上の問題ですね。
通常のブレーキだと可動部分が
1~2ケ所ですので比較的抵抗が少ないのですが、
スマートコントロールブレーキは10ヶ所。
特に上側のパンタグラフ部分には8ヶ所もあるんです。
更に、出た当初のモデルは下記画像の白い樹脂部品が外れて
非常に危ない状態の物も結構見かけました。(画像は対策後のモデル)
樹脂部品がレールをスムーズに動かないと
上手くパンタグラフを広げる事が出来ません。
「核」となる部分なのですが、耐久性に優れているとは思えないです。
動きが悪くなったらこのパンタグラフ6カ所とレールの2か所に注油をします。
(余分な油は拭いて下さいね)
先日お越しいただいたPASバビーの方は正にこの部分の油切れでした。
何と、購入してからわずか半年です。
青空駐輪の方や、雨天時も使用される方はこまめな注油をお願いいたします。
そして、可動域の狭さもちょっと問題ですね。
キッスミニ・ビッケ・アンジェリーノ等の20インチのブレーキ接触面の
幅は27mmほど。つまり、ブレーキ側は27mm以下に挟まらないと効かない訳です。
一般的なキャリパーなら下の画像のように0mmまで挟めます。
(そんな車輪ありませんが)
このブレーキなら最大幅で52mm、最小で0mmのリム幅まで対応できます。
ところがスマートコントロールブレーキ、
ブレーキゴムが新品時で最も縮んだ状態で20mmもあります。
コレだと片側3.5mmブレーキが減ったらもう効かなくなります。
パンタグラフ部分の黒い樹脂カバーが無ければあと1mmぐらいは確実に稼働域が
広くなるのですが…。
最大幅は新品時54mmあるのに、実際は32mm~27mmの範囲でしか使えません。
メーカーとして一番いい解決方法はリムのワイド化ではないでしょうか。
現状のリムより4mmほど幅広にすれば、可動域も余裕がでるでしょうし、
スマートコントロールブレーキ本体にも手を入れなくていいし。
一般の方にはギュットミニ、ギュットアニーズなどに採用されている
角度調整機能付きのブレーキシューなんかもいいと思います。
角度調整機能の分、厚みが増すのでブレーキキャリパーも広げた状態で使えます。
スマートコントロールブレーキは多少手間がかかりますが効きはよいので、
少しでも異常を感じたら販売店に相談して下さいね。
※2016年モデルのスマートコントロールブレーキ採用の
アルミリム採用機種はブレーキシューの材質が変わり、
減りが遅くなるようです。(見た目は赤紫→朱色に変わりました。)
~2015年モデルまでのビッケ、バビー、キッスミニ、アンジェリーノプティットを
ご使用中の方で前ブレーキ減りが早い方は1度試してみて下さい。
対策方法をまとめてみると
●2016年以降のスマートコントロールブレーキに交換
(注油頻度とブレーキの減りの早さが改善)
●ブレーキシューを厚みのあるものに交換
(最後までブレーキシューが使えるようにする)
●リムをワイド化する
(最後までブレーキシューが使えるようにする)
●普通のキャリパーブレーキにする。※販売店に相談して下さい
(子乗せ電動自転車は重いので普通のWピボットブレーキは向いてません。)
※2018.1月追記※
2018年モデルに採用されている「スマートコントロールブレーキⅡ」は
合格点を上げれるレベルに進化していると思います。
2012~2013年頃のスマートコントロールブレーキの方にもオススメ。
交換費用は黒い樹脂カバーも含めて3,500円~4,000円くらい?
※スマートコントロールブレーキは、大体5世代くらいあります。
・1型(2012~2013頃)可動部の白い樹脂パーツが無くなるなど不具合多数
・2型(2014頃)白い樹脂パーツを含むガイド部の幅を拡げ、レールからの脱落軽減
・3型(2015頃)ワイヤー調整しやすいようにカバーとボルトの変更
・4型(2016)ブレーキシューの変更により、減りにくくなった(長寿命化)
・5型(2018)「スマートコントロールブレーキⅡ」に進化。
5型の完成度で最初から出せていればね~。
ブレーキは制動力も大事ですが、耐久性も同じように大事なんです。